細見綾子第一句集「桃は八重」より(昭和16年上梓)
紅色につやゝかに蜘蛛の子がゐたり
死ぬふりを子蜘蛛ながらにしてみする
見つけたのは…蜘蛛の子だったと。
でで虫が桑で吹かるゝ秋の風
句碑にもなっている有名句。桑の葉に見つけたのは蝸牛、秋の風の吹かれて。想像だけでは詠めないと思う。私も、実際に感じてみたい。
幼きが草のやうにも昼寝する
子供(特に孫)を詠んだ句は、敢えて採らないようにしています。比喩の句も同様に。その上で、どうしても採りたいと思いました。
手紙封じふくらみ紫陽花の事も書きし
あぢさゐに背向けて花の明るさを
いくらでも水気ほしげに紫陽花は
紫陽花三句。背に花の明るさを感じたのは、作者自身かなと思っていましたが、写生句と読むと、小さき何かを見つけたのかもしれません。
綾子にとって、小さきものは、すべて同様に愛おしいのですね。
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