十月の句会。
雨の路地金木犀のこぼれをり かほり 選3
この句は一見綺麗に表現されていますが、俳句は「心象の表白」です(先生)
心象の表白…心に浮かぶ像(イメージ)を、言葉に表すこと。
つまり、この句には私がどのように感じたのかが入っていないのです。
生憎の雨の中、傘を差しうつむく視線。ふと、雨に零れた金木犀が目に入り、美しくて、嬉しくて。
推敲した句。
零れたる木犀深し雨のみち かほり
降り積もっている木犀が見えます(先生)
「深し」で、木犀の色と香りだけではなく奥行きも感じられます(句友)
ただ、あの日感じたことは今ひとつ伝わっていないように思えました。もっともっと掘り下げてみようと、推敲を続けます。
雨路の黒に引立つ木犀よ かほり
この「引立つ」という動詞に出会うまでに、随分時間がかかりました。
「何にどう引(き)立つのか。説明的にならないよう、具体化するといいよ」と、句友よりアドバイス。ついつい「生憎の雨に」などとしてしまいがち。
心象の表白、あの日の金木犀が、何とか詠めた気がしました。
二句並べて「行政書士とうきょう」で、(今の私を)発表。
句材は雨と木犀で一緒なのに、焦点を変えることで世界が広がりますね(句友)
この「木犀」の句が、方向性を意識するきっかけになりました。