薪水俳句

「台所俳句」という言葉、元来の意味は違うようですが、一般的なイメージはあまり良くないですね。ジェンダーレスの時代ですし、日々丁寧に生活することは、俳句を詠む上でとても大切なこと。綾子は「薪水俳句(まきみずはいく)」という言葉を使っていたようです。

好きな俳句を並べてみます。

細見綾子第一句集「桃は八重」より(昭和16年上梓)

暑さ言ふも暮らすよすがでありにけり

一日の暑さうすらぎ葱きざむ

後の句、葱はメインにはならないけれど、欠かせない素材ですものね。

貝割菜たのみなき日の食べものや

貝割菜根といふもののありにけり

詠まれた時期は違いますが、勝手に並べて。前の句、そのとおり!それを受け、後の句に深みが増します。下処理の時にも、詩は生まれるのですね。

わらび茹で酢にして食べて昨日今日

新鮮なのでしょうね。毎日でも飽きないくらい。

黒豆を煮んか粉雪が降つて来る

粉雪の白に、黒豆を煮ようかと。ふっくらとつややかに。

茎漬に霰のやうに塩をふる

暮らしとはこのやうに茎漬もして

京都に近いし、壬生菜の塩漬けかな?私も作ってみたい。

冬に入る照れる所へ水捨てゝ

何となく、日のあるところに。

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